2024年1月社報より抜粋
年頭所感
維新建設社員の皆さん、ならびにミツワグループ社員の皆さん、そして、ご家族の皆様、謹んで新年のお慶びを申し上げます。また、元日に発生した「能登半島地震」により被災された方々におかれましては、心からお見舞いを申し上げ一日も早い復興をお祈り申し上げます。思えば、元日の1月1日は、4年間苦しめられたコロナ禍が明け日本中のどこもかしこも新年を迎えた祝賀ムードに包まれていた気がします。ところが、この慶事を楽しんでいた夕刻16時10分頃、石川県能登半島を中心とする最大震度7の大地震が発生すると、メディア各社は一斉に緊急報道へ切り替えたため祝賀ムードが一変して日本中が震撼する正月となりました。さらに、気象庁からの大津波警報が発令されるとメディア各社は一斉に高台への避難を強い口調で繰り返し繰り返しの呼びかけに、遠く離れた私ですら危機感の高まりを覚えたことは強く記憶に残っています。この日から1ヵ月が経過しようとしていますが、復興の第一歩である道路の復旧作業においては能登半島全体で地形の隆起が見られ、土砂崩れ箇所も多く存在していることから円滑な物流の確保にかなり苦戦を強いられているようです。さらには、震災で大切な家族を失い多くの倒壊した家屋や生活に欠かせない水道・電気・ガスといったライフラインの復旧にめどがつかないなど、被災された方々の避難生活は被災した経験のない私にとって想像するに余りあるものだと受け止めています。
わが社は、東日本大震災で被災した栃木県の東北本線・福島県の常磐線・岩手県釜石市の山田線の復興工事を通じて社会に貢献しようと、2011年3月から2018年8月までの7年6ヵ月に渡り取り組んできました。2024年能登半島地震でも震災復興に向けて国内全体で支援の輪を拡大していこうといった状況にあります。今回も鉄道会社様より応援要請があれば真っ先に手を挙げ復興に貢献していきたいと考えていますが、そのような要請が無くとも我々の得意とする分野で復興に貢献出来ることが無いか。あるいは生活必需品の支援など、どのような形で復興に寄与するべきかを考え行動に移したいと思います。
さて、新年にあたり今期の業績と2024年の経営計画を一部紹介したいと思います。
■経営方針:「強く、正しく、美しく」
〇売上と営業利益について
・売上:2023年12月期(8ヵ月累計)
@会社合計:866,854千円 前年同月927,306千円 ※2021年同月851,452千円
前年比:93.4% 6.6%減 ※2021年比101.8% 1.8%増
A事業所前年比%:1)宇都宮100.8 2)古河91.6 3)小山90.6 4)館林90.2
B最終見込み:10〜15%減、1,360,440千円〜1,284,860千円
→2022年度実績「1,511,600千円」
C営業利益(上期6ヵ月):前年比65%で推移 35%の減益となる
→「安全な現場に“やり直し”と“無駄”は無し」:事故発生が大きな損失!
→「これまでの概念を変える」…例えば、@通勤車両の削減A重機のアイドリング削減B道具の取り扱いと不調の早め報告C会議資料のデータ化でスクリーンへ
・2024年度(2024年4月〜2025年3月)の動向
@JR東日本様:保技セ→発注単価は増額、工事量は減少傾向→2023年度の水準?
土技セ→新幹線橋脚の耐震補強、のり面補強、ホームドア、橋梁撤去有道化、軌陸高所作
業車などのこ線橋点検・補修業務など土木工事量は増加傾向
A東武鉄道様:杉戸・館林・野田・栃木など受注エリアが拡大傾向
B大規模プロジェクト工事や新規参入工事に総力戦体制で取り組む
→1)春日部高架化5/11切替 2)古利根橋梁4/28切替 3)土木受託工事・耐震補強・
ホームドア・橋梁撤去 4)連接軌道工事 5)休泊川橋梁架け替え工事
6)武子川橋梁架け替え工事 7)北海道新幹線札幌延伸?
→所長・副所長はプロジェクト現場のパトロールに参加して気づきを報告
→有資格者・重機・軌陸車・大型車・器材などWeb調整会議を新設…成田担当所長
C機械に強い会社づくり:オペレーターの増員、月次点検と異常時対応力を強化
1)オペレーターの育成・増員→最低でも所有機械数×2人は操作者が必要
→とくに小山事業所はオペレーター不足が顕著に…特殊アタッチメントも含めた
オペレーターの育成と増員は必須
2)社員の機械整備スキルアップ→月次点検と軽微な修理は事業所対応が当たり前に
→BHは月次点検が定着しつつあるが、軌陸クレーン・軌陸ダンプの月次点検が
定着する年に
3)グラップリングバケット、跳ね上げ式4頭TT、道床カッター、LHV、大割機、
ブレーカーなど特殊アタッチメントを活用した施工提案
4)10・3tトロ、くるくるダンプ5t、フォークリフトを活用した施工提案
5)重機の投資…5月:2.2t軌陸ダンプ(転車台付) 7月:PC78-10
〇安全について
@2023年に続き「管理者は元請け会社、作業の責任者は協力会社」しかし、現場数が確保出来
ないので、協力会社の軌工管・工管のプロフェッショナル化と専任化がこれまで以上に求め
られる。また線閉責任者の育成も求められる→小山1名実績あり
1)作業責任者のレベルアップがまずは重要である。現場の調査で「保安体制、施工方法、
工程、仕上り不安要素、メンバー・機械の選定」など、責任者らのミニ施工検討会により
画像・動画・ハザードマップのデータを活用しながら想像力を鍛え、責任者個人や事業所
の技術レベルを追求する
2)軌工管・工管は「施工計画、安全計画、安全管理、品質管理」の最高責任者であること
を発注者様は求めているので更なる勉強と経験が必要となるため専任化へ
軌工管・工管が経験の浅い作業責任者の業務をフォローする状況を改善したい
3)打合せや施工計画書と異なる状況となった場合に、ただちに作業を中断・中止の判断が
できる責任者を育成する
A見逃さない現場調査と施工計画書の作成が出来る責任者を増やす
1)現場調査の映像化と想像力の強化→所長・副所長と担当者らのミニ施工検討会
2)エリアマップを事業所の財産にする→社員のスマホでエリアデータを閲覧可能に
3)事業所内の共有フォルダを活用して施工計画書のイン・アウトプット化が可能に
4)維新ドックの施工動画を増やす(指扇・事業所)。施工方法の想像ヒントに活用する
5)電子黒板を活用した出発点呼の回数、対象現場を増やす
B仮設・安全設備に拘り働く社員を守る
1)開口部廻りの対策、昇降設備の設置、ガードマン、工事看板、電飾表示灯、照明
2)現場調査時に支障物や構造物の撤去および明示化にひと手間かける
3)防護カバー、メガネ、マスク、チェーンソーや草刈り機など回転への防護措置
4)暑さ対策おけるテント、冷やす取り組みや厳寒期のヒーターなど現場環境を改善
〇技術力の継承と向上および開発の取組み
@各事業所の社員数を現行より5名増やす→現在は96名 ※昨年は103名
A平均年齢を40歳未満とする→現在は45.4歳 ※昨年は44.3歳
B定期的に様々なテーマの技術研修を事業所で実践する…菊池次長、大塚副所長
→新人社員研修、技術研修会(出直し教育)、リスキリング(主に土木分野)
Cオペレーター育成へ様々な操作訓練を集中実践…石丸課長・川島所長・齋藤所長
D工具の開発や新しい施工方法を多くの閃きと検証に取組む…大野所長、成田担当所長
→脱トンパック、バッテリー工具、鉄道技術展をテーマに取り組む
〇コンプライアンス・その他の取り組みについて
@引き続き、働き方改革として有給休暇の取得および4週6休に取り組む
A勤務指定表の進化にて超勤時間:月45時間/年360時間以内の労働時間で管理する
B勤務指定表、給与明細のデジタル化により社員がスマートフォンで情報収集できるよう
新たなシステムの導入に取り組む
C所長、副所長が主導する現行の従業員会議(月1回)を、若手社員らが主導権を持って企画
開催する会議へ変更するなど、新たな会議スタイルとリーダーの掘り起こしに取り組む
以上が私の考えている2024年経営計画の一部となります。昨年もこの社報の新年号で述べた通り、わが国の経済状況は食料品などの生活必需品をはじめ電気代や光熱費の値上がりが続いています。私たちの事業活動においても光熱費の高騰はもちろんのこと、機械化に必要な燃料費や車両・機械のメンテナンス費用に係る部品代、さらには車両や重機、工具の購入価格も値上がりに歯止めがかからない状況が続いています。また、軌道工事の受注高および完工高は前段で報告したように昨年よりも少し苦戦した成績で推移しています。このような状況ではありますが、今年の経営計画も根幹は昨年と変わらず会社を支える社員への投資に軸足を置いて企業価値の指針となる「強く、正しく、美しく」を高める計画にしており、これが将来へ向けた会社の成長戦略だと考えています。この企業価値を高めることへさらに加速させる年にしていきたいと考えています。多くの優秀な人材と機械力が集う建設会社が鉄道という重要な社会インフラの整備に必要とされることは言うまでもなく、作業が機械施工中心へと変わっても企業価値の本質は働く社員であり簡単に値下がりすることはありません。古くから「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言い伝えがあります。新年明けの事故防止会議や安全祈願ならびに賀詞交歓会にて社員らの元気な挨拶や談笑する姿をみていると、会社コミュニティの中にいきいきとした社員が集い、その結集したエネルギーを正しい方向へと進めながら社会活動が健全に行えることの大切さを元日の震災報道に触れつくづく実感いたしております。社員の皆さん、暗いニュースが続いていますが心だけは豊かに今年も頑張っていきましょう。
維新建設株式会社
代表取締役 庄田 雅直