2024年5月社報より抜粋
気づく安全文化を築こう
〇切替工事のお礼
5月の連休が終わり、7月20日からの酷暑期に向けた計画工事を安全最優先で進めていると思います。また、今年は連休の前後となる4月28日に「古利根橋梁の架け替えに伴う線路切替工事」を、続いて5月11日に「春日部駅高架化に伴う線路切替工事」を両工事とも予定通りに終えることが出来ました。これは、古利根橋梁の現場を担当した館林・小山事業所社員、また春日部の現場を担当した館林事業所社員の地道な努力と、切替工事に応援を頂いた「菅原興業梶A鞄総建、さとう興業求A拠ホ木沢軌道工業」の皆様、そしてグループ会社である高崎建設梶A共立建設鰍フ皆様とフィールドを共にし、総勢200名を超えるメンバーで力を合わせてゴールを目指した成果だと思います。あらためて、紙面の場を借り御礼申し上げます。
〇全国安全週間を迎えるにあたり
さて、今年も7月1日から7日までの「全国安全週間」に向けて、6月から準備月間に入ります。今年のスローガンは、『危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全』となっています。このスローガンについて、私たちの仕事に照らし合わせながら考えていきましょう。
■まずは危険に気づくこと
私たちは、仕事へ取りかかる前に現場へ出向き必要な情報を収集します。例えば、施工は上り線?下り線?作業時間は?人数と資格者は?2重安全措置・保安体制は?線路への立入り箇所は?締結装置の種類は?重機作業の有無は?横断ケーブルなど支障物の有無は?相番・競合の有無は?といった感じで、さながら安全という教科の試験問題に、視覚と経験から算出した回答を埋めていくイメージが当てはまると考えています。そして、この安全試験のポイントは加点方式となっています。さらに付け加えると、チーム戦であるため全員で問題を作成して答えを協議することが可能となりますが、チーム全員が納得した答えを出すことが条件であることをルールとして押さえておきましょう。当然ながら、安全成績の加点を増やすためには問題数を増やす必要があります。そこで、作業における潜在リスクをチーム内で多く想定して問題数を増やしていくこと、すなわち多くの危険に気づくことが安全成績の向上を考える上で最も重要だと考えています。
■危険の芽を摘み取るために
前段の続きとなりますが、チームで気づいた危険に対して協議を重ね全員が納得できる対策を導くためにもチーム力が問われます。それには、ベテラン社員の存在がひとつの鍵となります。若手社員らとベテラン社員とでチームを編成した場合、若手社員は柔軟な目線や思考により様々な疑問を持つ傾向があります。また、ベテラン社員となると(過去の失敗)+(成功体験)×キャリアといった経験工学の数式を解答とする傾向があります。このことにより、両者による経験の違いから“作業の勘どころ”や“作業手順・施工方法”において施工のイメージに違いが出ることもあり、それに伴って安全対策の考えにズレが生じることもあります。そこで、新たな工具の開発や他機関からの導入、有効な仮設設備・安全設備の構築、機械施工の導入、デジタル化による危険の見える化といった柔軟な発想と情報収集に長けた若手社員からの意見と、仕事の勘どころを熟知した経験論者のベテラン社員らによるハイブリットな安全対策がチーム力を高めるために有効だと考えています。まとめると、“潜在する危険”から“顕在する安全”を確保することが重要で、それには若手社員らがベテラン社員の持つ経験を活用しながら、チーム全員がなるほど!といった納得感のある安全の気づきこそ、危険の芽を摘む力を組織として高めることとなります。
〇切替工事で高めた安全を基準とする
冒頭の切替工事を振り返ってみると、失敗は絶対に許されない上位工事として時間工程の根拠を立て、想定されるリスク要因を徹底的に洗い出し詳細な対策を打ち立て、なおかつ切替当日の作業量を軽減させ、入念な準備作業に時間を費やすおかげで成功裡におさまっています。これは過去の切替工事も同じことが言えます。また、成功した切替工事後にクロージングとして次回に対処すべき課題を洗い出し、より安全な切替工事のステップアップとしてきました。つまり、過去からのデータを繋いであらゆるリスクを洗い出し想定外を想定内とする取り組みが必ず成功させる切替工事の醍醐味となります。当たり前ですが、私たちの安全に対する姿勢は切替工事であっても通常の仕事でも同じことだと言えます。ですから、切替工事前の意識やモチベーションのまま道具の塗色や手入れを怠らず、新たな工種や不安を抱えた作業にはリハーサルや試験施工、技術訓練を介入させ緊張感を持ちながら仕事に臨まなければなりません。今年も安全週間を迎えるにあたり、大会スローガンである「危険への気づきと備えに力を入れて取り組む」ことは、すなわち“安全はすべてに優先する”精神と同じ意味であると認識を高め、全社員と共に私たちの安全を考えていきたいと思います。
維新建設株式会社
代表取締役 庄田 雅直